私は2019年、3回目の挑戦で社労士試験に合格しました。
試験勉強をしているときは、合格後については漠然と「資格を生かして何かできればいいなあ」と思っていましたが、具体的にどういう手続きを経て社労士として登録するのか、時期や費用についてはよくわかっていませんでした。
今回は2019年合格・2020年登録の経験をもとに、合格後の流れや内容、そして気になる費用についてご紹介します。
合格発表と通知
発表当日はwebで
例年11月初旬の金曜日が合格発表です。合格を確認する方法は、インターネット版官報(号外)、社労士試験センターのHP、厚生労働省HPなどがあります。
インターネット版官報の公開が一番早い(朝8:30)ので、こちらでチェックする人が多いようです。
登録関係の書類の送付
合格発表の日の翌日以降、合格者には封書で、不合格者にはハガキで結果が届きます。
封書の中には厚生労働大臣名での合格証書と試験結果のハガキが入っています。
この時は「その後」についての案内はありません。
合格発表の1週間後くらいに、社会保険労務士連合会より封書が届きました。
中には登録の案内と必要書類、そして事務指定講習の案内が入っています。
社労士になるには試験に合格することと、2年以上の実務経験が必要となります。
実務経験がある人は職場の証明が必要となり、経験がない人は事務指定講習を受けることになります。
私は実務経験があったので、迷った末に事務指定講習は受けずに登録する道を選びました。

自分の経験が実務経験として認められるのかどうか心配な場合は、証明書に経歴を記入して社会保険労務士連合会にFAXすると内容を確認して返答してくれます
登録する?しない?かかる費用は?
試験に合格しただけではまだ「社労士」と名乗ることはできません。
社労士を名乗るには各都道府県の社労士会に登録する必要があります。
合格に有効期限はないので、登録は何年後でもできます。
後述する通り登録にはまとまった金額が必要なので、資格を活かして仕事をする予定がなければ登録しない人も多いです。
登録の種別
登録には4つの種類があります。
・社員:社会保険労務士法人を設立し、社労士の業務を行います。
・勤務:企業(社労士事務所含む)に勤めて、その会社の社労士として働きます。
・その他:社労士と名乗ることはできますが、社労士として仕事をすることはできません。
「開業」と「社員」をあわせて「開業」、「勤務」と「その他」をあわせて「非開業」と言うこともあります。
「開業」「社員」「勤務」の場合は職場がある都道府県、「その他」の場合は自宅のある都道府県に登録することになります。
登録に必要な書類
登録に必要な書類は以下の通り。
- 社会保険労務士登録申請書
―連合会からの郵便に同封されています。A3で3枚複写。 - 社会保険労務士試験合格証書の写し
―合格発表の翌日以降に郵送されてくるものです。 - 労働社会保険諸法令関係事務従事期間証明書または労働社会保険諸法令関係事務指定講習修了証の写し
―実務経験がある人は職場の証明、事務指定講習を受けた人は修了証の写しです。 - 住民票の写し
―マイナンバーの記載のない、3か月以内のもの。 - 顔写真
―社労士の証票に使われます。基本的に写真を変更することはないので、納得の1枚を!
この段階で「開業・社員・勤務・その他」のいずれかの登録種別を選ぶ必要があります(あとから変更も可能ですが手数料が数千円かかります)。
社労士として独立開業する場合だけでなく、「知人の事業を少し手伝いたい」とか「フリーランス的にスポットで仕事をしたい」という場合も開業登録になります。
開業で登録する場合、事務所の名前や住所・連絡先の記載と事務所の地図の添付が必要となります。
事務所を構えずに開業することはできません。
書類上だけであっても事務所名を決める必要があります。

社労士事務所名の一覧を見ていると、姓または姓名+社会保険労務士事務所にしているところが多いようです。私は結構悩みました
登録は原則1日(都道府県によって15日も)、申請期限は原則前月25日です。
書類が揃えば最速で12月1日開業が可能です。
具体的にはいくらかかる?
登録免許税が30,000円。
登録手数料が30,000円。
他に入会金と年会費が必要となります。額は都道府県によって異なります。
一例として:千葉県の場合
千葉県の場合は、入会金が80,000円、年会費が開業で84,000円、非開業で60,000円でした。(年会費は登録月に応じて月割りとなります)
県の社労士会に登録の連絡をしたところ、県からも手続きの書類が送られてきました。
そこで初めて千葉県会にはいくつかの「支部」があり、支部会費も必要となることを知りました(支部がない県もあります)。
そしてこちらもまた初めて聞く「政治連盟」なるものの入会申込書が同封されていました。
正式名称「社会保険労務士政治連盟」。各都道府県に政連があり、その連合体として全国政連があります。
加入すると会費を納める必要があります。

加入は任意です。私はツイッターで先輩社労士の意見を伺い、加入することにしました。
私が所属する支部の会費は開業が年間18,000円、非開業が9,000円。
千葉県は開業と非開業で会費が異なり、開業は9,600円です(高い)。
登録するにはこれだけかかる!
登録免許税:30,000円
登録手数料:30,000円
入会金:(開業・非開業)80,000円
年会費:(開業)84,000円(非開業)60,000円
支部会費:(開業)18,000円(非開業)9,000円
政連会費:(開業)9,600円(非開業)6,000円
合計 開業:251,600円 非開業:215,000円
さらに事務指定講習を受ける場合は+77,000円となります。
開業:328,600円 非開業:292,000円
都道府県によっても異なりますが、年会費や支部会費などは登録する月によって月割りになります。私は2月1日登録だったので、登録時に払ったのは2月・3月の2か月分でした。
年会費の支払い方法
入会金を納めるのは1回きりですが、年会費や支部会費は毎年必要です。
千葉県の場合、登録年度の翌年度以降は口座振替が原則となります。
年1度の一括支払いと半年ずつの分割払いが選べます。
他の都道府県は、口座振替ではなく都度振り込みのところもあるようです。
登録手続き
登録手続き
登録手続きの方法は都道府県によって異なります。
千葉県は事前に連絡して都合のいい日に必要書類とお金を持参する方法でしたが、
・書類は郵送、登録日後に集まってオリエンテーション
・登録手続きの日程が決まっていて、その日に集まって手続き+オリエンテーション
などいろいろなパターンがあるようです。
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私の場合は書類のチェックと現金授受だけで、15分くらいで終わりました
登録手続き後の流れ
登録日から3週間程度で社会保険労務士証票(写真入りの身分証明書みたいなもの)が届くことになっています。私は2月半ばに届きました。
赤い手帳が証票入れ。その中に取り外しできる透明ポケットがついていて(写真真ん中のグレーのもの)、そこに証票と会員証を入れるようになっています。手帳の内側には倫理綱領と研修の記録欄があります。
会員証はその後県会から送られてきました。

ちなみに徽章(バッジ)はまだ入手出来ていません…。
そして県会や支部からいろいろなお知らせや研修の案内が届いたり、「月刊社労士」が届いたり(登録すると毎月届きます)して、徐々に社労士になった実感が沸いてきました。
しかし新型コロナウィルスの影響で3月に予定されていたオリエンテーションが中止となり、また研修会等も次々と中止されて、いまだにどこにも顔を出せていません。
最後に
私は社労士試験に挑戦している間はとにかく合格が目標=ゴールでした。
でも、実際には合格はスタート地点です。
受験生の方は、社労士になったらどういうビジネスモデルで仕事をするか、事務所名は何にするか、勉強の傍ら考えてみるのもいいかもしれませんね。
そして登録を考えている人は、お金もしっかり貯めておきましょう!
コメント
登録費用思っている以上に掛かりますね。
わかりやすく読みやすかったです。
コメントありがとうございます。
そう言っていただけてとても嬉しいです!
昨日合格通知を受け取ったものです。
登録にはお金がかかる、とばくぜんと資格保有者のかたには聞いていましたが、メインのお金以外にもいろいろあるんだということを初めて知りました。
見やすく、綺麗にまとめられた記事でとてもよくわかりました。
ありがとうございます
めいこさん、合格おめでとうございます!
私もめいこさん同様、漠然とお金がかかるとしか認識していなかったのですが、思った以上にお金がかかったので、謎の使命感にかられてブログを書きました(笑)
お役に立てて嬉しいです!ありがとうございます。
本年度合格しました。
ちょうど事務指定講習の受講料7万7000円に驚いたところでしたが、まだまだ費用がかかるのですね。
本記事で事前に知ることができて良かったです。
ありがとうございます。
コメントありがとうございます。
そして合格おめでとうございます!
登録費用に年会費、ずいぶんかかりますよね…
元が取れるのか?という気持ちと、元をとってやる!という気持ちが混在しています。
都道府県によっても金額や支払い方が違うようなので、確認してみてくださいね!